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RECOMMEND ALBUM REVIEW !
久保田早紀 / 夢語り
酒井政利がプロデュースした、デビュー曲『異邦人』を含む、1979年12月発表のデビュー・アルバム。彼女自身が愛聴していたポルトガルのファドの女王として知られるアマリア・ロドリゲスへの憧れや、イランに単身赴任していた父から貰った現地の歌手の存在が大きく、シルクロードへの郷愁と、異国情緒に溢れた『異邦人』を始め、随所で神秘的なメロディが流れ、彼女の清楚で繊細な感性が現れた澄んだ歌声が、美しく胸に響いてくる。全体的には、夢の中で描かれる心象風景のようなナイーヴな印象が強く、自らのルーツでもある教会音楽、クラシック、ギリシャ神話などの諸要素が音楽性の中に立ち現われている。コマーシャリズムを追求した『異邦人』は、商業的な成功を収めて人々の心に残ったが、多彩な楽曲を歌えるシンガー・ソングライターでもあり、素朴な感触が妙に心地いい名盤と言える。
Release date: 1979 Producer: ---
中川翔子 / nsum~中川翔子がうたってみた!~
ボカロ系の新進気鋭なクリエ−ターたちとのコラボ的なミニアルバム。疾走サウンドがエモーショナルに駆け抜けていく、8ビート・ポップ・チューン「Dream Driver」でアルバムに勢いを与え、FFVIIの臨場感を髣髴とさせる「GAME」、控えめなテンポでロマンチックなぬくもりを与える「Discovery」、軽快なテンポと煌びやかなメロディが交錯し、ときめく恋心を歌った「トキメキ☆ドリーマー」、チップチューン風のナイーブな音色に包まれ、独特なミニマムな世界観が広がる「ワークス×ワークス」と、バラエティに富んだ楽曲が続き、清純なアイドルらしさ全快の「宇宙でプロポーズ」は、中川翔子プロデュース「SunshineCity×KONICA MINOLTA AQUA STAR TREE」のテーマソングであり、2012年12月23日に開催されたミニ・ライヴでも披露された。新たな試みに挑戦し、ネット世代のニーズに答えたアルバム。
水樹 奈々 / MAGIC ATTRACTION
歌手としての2作目。Winkや松本伊代のバックバンドでギタリストを務め、奥井雅美も手掛けていた矢吹俊郎をプロデューサーに迎え、前作よりも明るく前向きでポジティブな世界観が広がる。水樹奈々の代名詞とも言える“ヴィヴラート”を使い感情を込めた歌唱スタイルへと変化し、内面から響く高貴なムードを醸し出せるようになった。シンセサイザーを用いた打ち込み中心に、AOR的なバンド・サウンドを重視した演奏からは、躍動感と重量感のある引き締まったビートがストレートに伝わり爽快だ。キャッチーでアップ・テンポな楽曲、優美なピアノの伴奏を重ねたバラード、キュートな乙女心を歌ったラブソングなど。多彩な未発表曲を織り交ぜ、コンサートでも終盤に歌われることが多い『POWER GATE』で最大の盛り上がりを見せる。まさに魔法のようなアトラクションを演出したアルバムに仕上がった。