Release date: 1979    Producer: ---

水樹 奈々 / MAGIC ATTRACTION

歌手としての２作目。Winkや松本伊代のバックバンドでギタリストを務め、奥井雅美も手掛けていた矢吹俊郎をプロデューサーに迎え、前作よりも明るく前向きでポジティブな世界観が広がる。水樹奈々の代名詞とも言える“ヴィヴラート”を使い感情を込めた歌唱スタイルへと変化し、内面から響く高貴なムードを醸し出せるようになった。シンセサイザーを用いた打ち込み中心に、AOR的なバンド・サウンドを重視した演奏からは、躍動感と重量感のある引き締まったビートがストレートに伝わり爽快だ。キャッチーでアップ・テンポな楽曲、優美なピアノの伴奏を重ねたバラード、キュートな乙女心を歌ったラブソングなど。多彩な未発表曲を織り交ぜ、コンサートでも終盤に歌われることが多い『POWER GATE』で最大の盛り上がりを見せる。まさに魔法のようなアトラクションを演出したアルバムに仕上がった。

水樹 奈々 / supersonic girl

PS用ゲーム『NOeL 〜La neige〜』の門倉千紗都役で声優デビュー後は、声優業を中心に活動してきた水樹奈々の歌手としてのファースト。まだあどけない少女のような愛らしさと、お嬢様の様な清楚な佇まいを感じる歌手だ。一見してアニソン系の作風を予想したが、90年代テクノポップに通じる心地よく聴ける軽快な楽曲が多く、ノスタルジックな雰囲気を漂わせる。全体的にはオーソドックスな作風だが、底抜けの明るさに満ちたポップ・チューンから、女性としての落ち着きを備えた珠玉のバラードまで、甘い歌声がまったりと沁み入り素直に楽しめる。奥井 雅美のカヴァー曲『TRANSMIGRATION』では、次世代のアニソンクィーンに相応しい将来性を感じさせる貫禄と歌唱力の高さに驚かされる。『supersonic girl』の由来は水樹が愛聴しているUKロック・バンド、オアシスのデビュー曲『スーパーソニック』から。

中川翔子 / 続く世界

通産6枚目のシングル。表題曲「続く世界」は、映画『劇場版 天元突破グレンラガン 紅蓮篇』主題歌に起用されたアニソンだけあって、「空色デイズ」に感触は近く、重厚なバンド・サウンドを核とした勢いのあるガールズ・ロックで、観客と共に盛り上がるナンバーだ。間奏の超絶ギターソロも聴きどころ。甘えるような歌声で、つつましやかな可憐な女心を歌った「through the looking glass」は、どこか松田聖子の楽曲にも通じるものがあり、自然と耳に入ってきて懐かしさを感じる楽曲である。極力飾らずに、ストレートに心の風景を表現している。「空色デイズ feat. 8bit Project - spiral chiptune mix -」、はメジャーシーンに頭角を現した3枚目のシングル表題曲を、テクノ系の打ち込み手法で、ゲームサウンドを取り入れた遊び心満載のユーモアな楽曲へと変化させた。次世代アイドルらしい個性ある作風だ。

中川翔子 / nsum~中川翔子がうたってみた!~

ボカロ系の新進気鋭なクリエ−ターたちとのコラボ的なミニアルバム。疾走サウンドがエモーショナルに駆け抜けていく、8ビート・ポップ・チューン「Dream Driver」でアルバムに勢いを与え、FFVIIの臨場感を髣髴とさせる「GAME」、控えめなテンポでロマンチックなぬくもりを与える「Discovery」、軽快なテンポと煌びやかなメロディが交錯し、ときめく恋心を歌った「トキメキ☆ドリーマー」、チップチューン風のナイーブな音色に包まれ、独特なミニマムな世界観が広がる「ワークス×ワークス」と、バラエティに富んだ楽曲が続き、清純なアイドルらしさ全快の「宇宙でプロポーズ」は、中川翔子プロデュース「SunshineCity×KONICA MINOLTA AQUA STAR TREE」のテーマソングであり、2012年12月23日に開催されたミニ・ライヴでも披露された。新たな試みに挑戦し、ネット世代のニーズに答えたアルバム。

中川翔子 / ホロスコープ

通産15枚目のシングル。表題曲「ホロスコープ」は新境地となる切ないミディアムロック。二度と会えない人に向けての歌で、本来のコンセプトとは別に、中川自身は亡き父を想う曲でもあると思われる。神秘的な夜空の下、しっとりと聴かせるバラード色が強い繊細で透き通った楽曲。柔らかい歌声なのに不思議と芯の強さを感じさせる歌唱力には思わず涙を誘われる。「僕らの未来」は、落ち着いた大人の女性の魅力を感じさせる歌声が魅力的で、静かでゆったりとしたテンポが心地よく、まったりと聴けるバラードの王道だ。「snow tears -Mitchie M Remix-」は、4枚目のシングル表題曲を、ユーロビート調にリミックスして収録。甘い歌声で語り伝えるバラード曲から、躍動的なサウンド／ビートに溢れた楽曲へと音楽的志向性は変化したが、開放的な彼女のポジティビティを響かせ、清々しい印象を与える。

中川翔子 / つよがり

CDデビュー5周年イヤー記念シングルを締めくくる第3弾は、等身大の応援歌。表題曲「つよがり」は、眩しいほどのキラキラなメロディ・センスが光り、前作よりも増したスピード感と押しの強さで、新しい明日へ歩き出そうと歌った応援歌。続く「星屑ロマンス」は、壮大な星空を舞台に、内面的心情を描いたテーマだが、何とも小気味良くコンパクトで聴きやすい。「Dangerous wild, you are!」は、ダンサンブルなリズムに、歯切れが良いグルーヴィーなサウンドを乗せた、踊れるようなハードなロックナンバー。正義感や闘志に溢れた説得力のある歌唱力には、これまでなかった妖艶美すら感じさせる。これも未来の明日への応援歌である。当初は2011年5月4日発売予定だったが、東日本大震災の影響を考慮して、2011年6月8日に発売延期となり、つよがりの配信収益は中川本人の希望から義援金としている。

中川翔子 / 桜色

CDデビュー5周年イヤー記念シングル第2弾は、自身初の“桜”をテーマとする作品。表題曲「桜色」は春らしくて爽やかなイメージに溢れた、思わず口ずさんでしまうキャッチーなアップテンポなナンバー。本人出演のネスカフェ・エクセラのCMソングにも起用。スピード感のある楽曲の中に、ナチュラルで落ち着いた雰囲気もあり、暖かく穏やかな春の訪れを感じさせると共に、フレッシュな気持ちにさせてくれる。続く「マシュマロ」は、女の子のキュートな心情を綴った元気いっぱいのポップナンバー。「ラベンダー」は、好奇心が弾むようなメロディが爽快で、気分を前向きにさせてくれる。当初は2011年3月23日発売予定だったが、東日本大震災の影響を考慮して、2011年4月6日に発売延期された。決して震災を意図して制作されていないが、未来の明日の夢が描かれ、ピュアな雰囲気が伝わってくる快作だ。

中川翔子 / Big☆Bang!!!

中川翔子 / Magic Time

3ヶ月連続でリリースされたシングル「Shiny GATE」「続く世界」「綺麗ア・ラ・モード」を収録した、2009年元旦発売の2ndアルバム。松本隆と筒美京平コンビによる穏やかな時が流れる「綺麗ア・ラ・モード」や、筒美京平が作曲を手掛けた爽やかな感情が迸る「シャーベット色の時間」などの楽曲からも、往年のアイドル歌謡曲界へのリスペクトとオマージュが見え始めた。アニソンとして起用された「続く世界」では、これまでの作品を継承したパワフルなガールズ・ロックを歌唱しているが、本作は、中川翔子の、内面の感情表現の魅力を引き出し、前作よりも甘い声で歌い、哀調を帯びたメロウな味わいで、聴く者の心の琴線に触れてくる。「冬の遊園地」はまるでデートをしているようなビジョンを見せ、“魔法の時間”が流れるアルバムに仕上がっている。これだけ幅広い曲調を歌いこなす歌唱力の技量はさすが。

中川翔子 / Cosmic Inflation

『Cosmic Inflation』（宇宙の拡張）というタイトルからも、音楽性は基本的に1stを引き継いだもの。これまでハード・ロックを意識した、全体的に力み過ぎた楽曲が多かったが、本作は、まるで猫が駆け抜けていくような軽やかな疾走感に、同じロックでありながら攻撃性のない癒しのポップ・メロディが強まり、煌びやかで明るい雰囲気を醸し出す。確立したボーカル・ラインとメロディ・ラインを、より洗練されたサンプリング・サウンドが包み込み、浮遊感あるキラメロに、ドリーミーな“エレクトロ・テクノ・ポップ”エッセンスを織り交ぜたアルバムとなった。映画版ポケモン主題歌となった、松本隆と細野晴臣による壮大でロマンティックな大作志向の「心のアンテナ」や、言葉にならないありがとうと感謝を綴った「ありがとうの笑顔」などが収録され、時代のニーズにあった、CDデビュー5周年の記念碑的アルバム。